―小禄のひとびと(敬称略)― vol.05

ブラジルサンパウロ市のうるくんちゅ

沖縄タイムス2001年8月25日(土)夕刊
 「ワールドネットワークうちなー」より

    スーパー50店を展開/先輩業者がアドバイス/団結心強いウルクンチュ

     サンパウロ市にウチナーンチュのスペルメルカード(スーパーマーケット)が60店ほどある。うち50店はウルクンチュ(小禄出身者)の経営。最も大きな店舗を挙げるとタカラ・スペル(経営者・高良仁一、4支店)、スペル・バロネーザ(上原三郎、3支店)、スペルメルカード・上原(上原真栄、上原真正、3支店)、スペル・チエテ(上原チット)、ペリ・スペルメルカード(高良マウリシオ興俊)など。

     小禄系にスペルメルカード経営者が多い理由は、旧小禄村出身者に金城セイキ、上原真勇さんなど早くからスーパーを経営していた先輩業者がいて、開業に向けアドバイスしたこと。もう一つにはウルクンチュは郷土意識、団結心が強い。助け合う美点があり、なんらかの開業の場合、頼母子(たのもし)講を起こしての資金協力を惜しまなかったことなどが挙げられる。

     前記したスーパーのオーナーたちは、今でこそ目を見張るほどの成功者だが、スタートはやはり郷里を同じくする先輩たちの援助でキタンダ(八百屋)、エンポーリオ(食品店)、バザール(日用雑貨店)を開業。多年の間に資金、商品を蓄積し、スーパー方式に切り替え発展させた人たちである。

     今回は近年になって伸びの著しい「ペリ・スペルメルカード」の社長・高良マウリシオ興俊さんを紹介する。

     旧小禄村出身の高良興栄さんが一家を挙げてブラジルに移住したのは1936年のこと。ソロカバナ線イツセン植民地で米作を業としたが(興俊さんはこの地で生まれた)、思わしくなく農業に見切りをつけサンパウロ市に再移転、郷友上原真勇さんの世話で小さなエンポーリオを開業した。

     興俊さんが選定した場所は都心から20キロ遠方のジャルジン・ペリ区だった(現在の本店所在地)。その地帯はまだ人家の少ない新開地だったのだが、サンパウロ市の急激な膨張、発展に伴い現在では車の往来の激しい繁華街に変ぼうしている。興俊さんの立地選定、先見に狂いがなかった。

     現在のペリ・スペルメルカードは売り場面積が3500平方メートル。前方が駐車場、正面入り口に27のカウンターが並び顧客の列が絶えない。内部に肉類、野菜コーナー、製菓場がある。従業員300人という。
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2001.10.05