うるくぬ んかしばなし

ガジャンビラ(蚊坂)

ガジャンビラ(蚊坂)

 その昔、沖縄には、蚊(か)はいなかったのね。だから誰も知らなかったのね。

 昔、沖縄は唐(とう)の国と仲良しにしていたのね。だからここからいろんな人が向うへ行ったり、あっちからこっちへ来りしてたわけね。その沖縄から行った人の一人がね、唐の国の夏に行ったわけね。そうしたら、夜になって眠っていたら、なんかいい音がするのね。プーン、プーンしてね、なんだかいい音だわけさぁ。だから、この人は起きてから、ろうそく点(つ)けて部屋のなかを調べたの。よく見ると、見たことのない小さい虫がフワフワ飛んでるのね。で、耳を傾(かたむ)けるとプーン、ブーンしてるから、すぐにこの虫がそれとわかつたわけさぁ。だからこの虫を捕まえておみやげにしようと思って、もう、たくさんとってから、沖縄にもって帰ったわけね。

 沖縄についてから、自分のシマにそのおみやげをもって帰ろうと急いだのよ。港から息ハァハァして、坂を登ろうとしたら転んでしまってよ、せっかくのおみやげの虫はブーン、ブーンして逃げてしまったの。それで、この虫は沖縄中に広がって行ったわけ。そうさぁね、この虫が蚊(ガジャン)さーぁ。でよ、この転んだところがガジャン坂(ビラ)という話さぁ。

 また、この蚊がよ、国頭(くにがみ)まで広がつたら断髪世(ダンパチユウ)になるって言われてよ、ほんとうに明治になつて断髪世になって、国頭まで蚊(ガジャン)が広がったんだねえって、言ったもんさぁ。


▼資料▼

ガジャンビラ(写真日本語説明英語説明)

ガジャンビラ公園那覇港一望

第1回.美空ひばり野外カラオケまつり

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